ケース・クローズ!

今日もエンジン快調!

ロビンソン R22型  ヘリコプター紹介

山椒は小粒でもぴりりと辛い。

 

このヘリをひとことで表すならこの言葉である。

世界的大定番の2人乗り超小型ヘリコプター。現在訓練中の人を含め、比較的若手の操縦士はこの機体で初等訓練を受けたという人が多いだろう。

ヘリコプターを知らない人にとっては「なんだこのちっこいラジコンみたいなヘリは笑」と思うかもしれないが、侮るなかれ。世界的大ベストセラーで多くの訓練生や自家用パイロットを支えているのがこのロビンソンR22なのだ。まあ、それは3000万円程度で購入できるという驚異的な価格の安さが一番の要因だとは思うが。

 

ヘリコプターというシロモノは大きさがそれほどでもないくせに結構高価で、エンジンを2つ積む中型機とかになれば10億円超えは当たり前な世界。小型機であっても、1億円を切る価格で購入できるヘリなんて、世界中見渡しても片手で数えられるくらいしかない。そんな中でこのヘリの安さは圧巻で、自家用ヘリとか操縦訓練用として日本を含む世界中で飛んでいる。

 

もちろん、安いからと言って決してショボいというわけではない。

 

下の写真を見るとわかるように非常に広い窓面積を持っていて、操縦席からの視界はすこぶる良好。乗り始めたばかりの駆け出しパイロットにはありがたい。

また、かわいらしく丸みを帯びたキャビンは空気抵抗が少なく、見た目の愛らしさとは裏腹にこの規模のヘリコプターとしては特筆すべき高速性と航続距離を有する。

キャビンのすぐ後ろには水平対向4気筒のレシプロエンジンが積まれ、排気量は5600cc。バージョンにもよるけど馬力は離陸出力で131軸馬力ほど。

 

航空機用のエンジンはトルクに全振りするので馬力自体は大したことないが、驚くべきなのはその軽さ。5000cc以上のエンジンを搭載する自動車の場合、どんなに軽くても1500kgを下ることはまずないと思うが、こいつの最大離陸重量はなんと622kg!そんなわけで車輪をくっつけてしまえば人ひとりでも軽々押し引き出来る。

 

操縦しはじめのころは、初めて乗るヘリということもあってむちゃくちゃのフラフラだったが、慣れると結構操縦しやすかった印象がある。機体がバカみたいに軽いので風には弱いが、シーソーローター(メインローターが羽2枚で構成されていること)らしいほどよいダルさもあって意外と何とかなっちゃうものである。

 

それにしても、わずか600kg前後のヘリで空を飛びまわれるのだからなんとも恐ろしいものである。事業用操縦士の試験を受けるにあたり、総距離300km以上の航法訓練をすることが義務付けられていて、私もこのヘリで出かけた記憶がある。

300kmといえば東京~仙台間に匹敵する距離で、3トンとか4トンクラスのヘリコプターでもそれなりに緊張する道のり。そんな距離をこの小さなヘリで飛んでしまったのだから、もはや恐ろしいを通り越して笑ってしまう。

 

ともあれ、ヘリの中で一番安いといわれるコストと軽快な操縦性を武器に、これからも活躍し続けてくれると期待したい。