ケース・クローズ!

今日もエンジン快調!

AS350型 エキュレイユ  ヘリコプター紹介

もうなんなのこのヘリ・・・。

 

このヘリに初めて乗った時の私の本音がこれである。あまりにも操縦が難しすぎて、飛行1回目からココロが折れそうになった記憶がある。

それはさておき、今回は旧アエロスパシアルが開発したAS350型エキュレイユの紹介。

大きめの民間ヘリ会社から法人所有まで実に幅広く使われる小型シングルタービンの傑作機で、試作機の初飛行は1974年だが、登場からかなり時間が経過した現在でも多数の機体が全国で活躍している。丸みを帯びたかわいらしい外見からか、エキュレイユ(フランス語でリス)というペットネームを有する。

 

登場後にメインローターを変えてみたりエンジンを変えてみたりと複数のバージョンが作られているが、おおむね最大離陸重量は2トン前後。エンジンパワーは640~700軸馬力程度で比較的パワーには恵まれており、それでいて3時間程度の航続時間も確保している。また、機体が丸くて幅がそこそこあるので後席は最大4人が座ることができ、速度も小型タービン機の中では比較的優秀な方。

こんな感じで、何をするにも「ほどほどにちょうど良い」性能を持つため、航空撮影、訓練、測量、遊覧、人員輸送と幅広く使うことが出来る。これが特に使用事業会社に好かれる所以であろう。まあ、外装は軽量化のためにペラペラなのでヘッドセットなしに乗ると非常にうるさいのだが。

 

実際、2枚ローターのヘリに比べると機動性でも優れており、もともとの機体の軽さも相まって上手い人が乗ると相当ムチャな機動が可能である笑。機動性に優れ、航続距離や速度性能も優秀と、なんとなくかつての零戦にも似た機体といえる。

 

機体構造の方はというと、シンプルでありながらも大胆に複合材を用いた機体構造やスターフレックスと呼ばれる特徴的なローターヘッドシステムなど、アエロスパシアル社独自の作りが随所にみられる。

スターフレックスというのは、メインローターの羽がくっついている根元の部分に使われている特徴的な構造の事で、スターと呼ばれる名前の通り星形をした板とゴムのベアリングで構成される。

 

スターはグラスファイバーをさまざまな形にカットしたものを約250枚重ねてエポキシ樹脂を含浸させ、真空炉で焼き固めて作られる。(何を言っているのか自分でも分からないが)このスターに加えて、金属とゴムをミルフィーユみたいに重ねたやつをローターの付け根に取り付け、それらの弾性力でもってローターにかかる様々な力を吸収するのである。

ゴム系の部品は潤滑油が不要なので整備性が良く、部品数も従来より約70%削減できるという。また、部品が少ないということは相対的にローターヘッドを軽量化できる。実際にAS350のローターヘッドは約55kgであり、前世代機アルウェットⅢの約105kgを大きく下回っているのだ。

このように、ベストセラーになるのもナットクの高性能機なのだが、そう甘いことばかりでもない。

 

このヘリの難点はなんといっても低速の操縦が鬼のように難しいところ。スターフレックスのせいなのか、機体が丸っこくて空力的に不安定なのかはわからないが、とにかくこいつのホバリングはフラフラして本当にキツイ笑。

とくにホバリング状態から地面に降ろすときなんか最悪で、フラフラするのをどうにか抑えながらゆっくり降ろしても、右後ろの降着装置が地面でバイ~ンと跳ねてまたやり直し、といったことがよくある。とてもじゃないけどホバリング中は息も吸えないほどだ。(ちょっとオーバーかな)

こんな調子なので、数千時間の飛行経験があるベテランパイロットたちに聞いても、このヘリが最も難しいと言う人はじつに多い。

 

そんなわけで、もし遊覧飛行とかでこのヘリに乗れる機会があった場合、地面にくっつく寸前の操縦を観察してるとパイロットの力量が分かるかもしれない笑。