ケース・クローズ!

今日もエンジン快調!

エンジンがひとつのヘリ ふたつのヘリ  ヘリコプターのあれこれ

飛行機はエンジンがいくつ付いてるのかというのがとても分かりやすい。飛行機はひとつひとつのエンジンが離れたところに搭載されるケースが多いため、外からみればエンジンの数をすぐに数えることが出来るからだ。これはプロペラ機でもジェット機で変わりはなく、下の写真を見てもらえば一目瞭然である。

 

 

ところがヘリコプタ―の方はというと、エンジンをいくつ積んでるかという事はイマイチわかりづらい。というより、大抵のヘリは頭の上ででっかいローターが1つだけぐるぐる回っているため、一般の方はエンジンが2つあるヘリなんて言われてもピンと来ないだろう。

 

飛行機と同じように、ヘリコプタ―にもエンジンを2つ以上搭載するものは存在する。外からは分かりづらいものの、搭載される複数のエンジンからの回転力を大きなギアボックスで混ぜ合わせ、それでもってあのでかいローターを回すのである。

見分け方としては、機体の後ろ方向に排気管が1つだけ突き出ていればエンジンは1つ。2つ以上の排気管が左右に振り分けるように出ていればエンジン2つ以上、といった具合だ。

とはいえ、エンジンが1つのくせに排気管が2本あるヘリなんかもあり、このへんはなかなか紛らわしい笑。

 

飛行機にしてもヘリにしても、エンジンが1つだけの航空機は単発機、2つ以上の航空機は多発機と呼ばれ、操縦士の免許も単発か多発かで明確に区切られている。多発のなかでもエンジンが2つの機体は双発機と呼ばれ、飛行機とヘリコプター共にこの双発の機体が今日では一番よく使われている(ように思う)。

以下は単発のヘリと多発のヘリとのざっくりとした違いである。

 

エンジン形式がレシプロ(ガソリンエンジン)かジェットエンジンかにもよるが、単発機は構造がシンプルでコストが安く、民間の会社にとっては非常に使いやすいのが嬉しいところ。エンジンが1つだけなので当然燃費もいい。

エンジンが1つしかないからパワー不足だと思われがちだがそんなことは無い。むしろ、ハイパワーなエンジンを積んでも機体を軽く作ることが出来るので、多発機より性能の良い単発機なんてザラにある。現に、12442mというヘリの絶対高度記録を持つSA315B型やエベレスト山頂離着陸の記録を持つAS350B3型はいずれも単発のヘリコプタ―だ。

また、複数のエンジン出力を混ぜる必要が無いため、ヘリコプタ―における微妙なパワー調整は単発機に分があるらしい。(あんまり乗っててもわからんけど

 

一方の多発機は構造や手順が複雑にはなるものの、エンジン数を増やせば規模の大きな機体にも対応ができ、大きさのカバー範囲が広い。機体の装備も単発機と比べると充実している傾向にあり、パイロットへの負担は単発機に比べて少ないと言えるだろう。

なによりの利点は、機体に不具合が起きた時の選択肢や時間的な余裕が単発機より格段に恵まれている点だ。エンジンが複数あればどれか1つが故障したとしても残りのもので飛行が続けられるし、エンジンの回転力を動力源とする発電機なども複数備えることが出来るので、非常時における冗長性は飛躍的に向上する。

 

こういった理由から旅客機はもちろん、ヘリであっても中、大型機になると多発機が現在の主流となっている。

やはり、大事なものが1つだけなのか2つあるのかということは、意外と大きな違いとなって操縦士にのしかかってくる。特に人口密集地や海上における仕事の際、多発機の安心感は抜群である。

 

もちろん、だからといって単発機が劣るという事は決してない。

幼稚園の送迎バスに高級セダンを買う事業者がいないのと同じように、結局のところヘリコプターも適材適所なのである。

例えば、たくさんの隊員を乗せる必要がある消防ヘリや防災ヘリで小型の単発機なんて使えないし、長時間海上を飛び回る海上保安庁ヘリとかも多発機のほうが良いに決まっている。

反対に、送電線パトロールや遊覧飛行、航空撮影とかに大型の多発機なんか割り当てていたら、デカすぎて使いづらいしコストばっかりかかって到底使えたもんじゃない。

 

大きな警察組織や規模の大きい民間会社が多種類のヘリを所有しているのもこう言った理由だ。ヘリの様々な仕事がある昨今、機体の大きさやエンジン数のニーズもまた、仕事の数だけあるという事である。

 

 

今回もつたない話にお付き合いいただき、ありがとうございました