ケース・クローズ!

今日もエンジン快調!

AS355型 エキュレイユ2  ヘリコプターのあれこれ

さて。どうにもこのヘリについて書く事が思い浮かばない。

 

まあそんな御託は置いといて、今日紹介するのはAS355型エキュレイユ2。おおざっくり言うとこのブログでも紹介したAS350型を大きさはそのままにエンジン2つに改修したようなヘリだ。

以前のブログの写真と見比べていただけるとわかると思うが、見た目はH125型とかとほぼ同じ。メインローターの大きさや全長、乗客数なども同じである。

これも実はいろいろなバージョンがあるのだが、最終に近いモデルだと2トン半くらいの重量に離陸出力450馬力クラスのエンジンを2つ搭載している。

 

AS365型やAW139型はメインのギアボックスに2つのエンジン出力軸が直接ぶっ刺さってるカタチなんだが、このヘリの場合は2つのエンジン出力をあらかじめ別のギアボックスで混ぜ合わせてからメインのギアボックスに入力するような形となっている。このため、比較的小型なメインギアボックスはそのままで双発化させることに成功している。

 

そうは言っても元がコンパクトなAS350型なだけにエンジンを双発化するのは容易ではなかったらしく、なかなか設計に苦労したと思われる箇所もちらほら。下の写真にあるようにやたらと機体の後ろに追いやられてしまったオイルクーラーや、アンバランスなほど膨らんでいるエンジンカウルなどもそのひとつと言える。

私もこの業界の経験が長いわけではないので確証はないのだが、全双発ヘリコプターのなかでもこのAS355型の時間コストはおそらくトップクラスに安いと思われる。となれば当然、スポンサーに提供する際の時間単価も安いため、民間使用事業会社にとってはとてもありがたいヘリだ。フランス製ヘリおなじみの長い航続時間も健在で、なかなか使い勝手は良好と言える。



飛ばす上での難点はやはり、パワー面の不安!

いくら双発とはいってもエンジンパワーはお世辞にも十分とは言い難く、最大離陸重量に近いともう性能的にアップアップもいいところ。特に性能の下がる夏場なんかは顕著で、低速飛行時や離陸時はなかなかシビアな操縦を要求される。パワー面に加えてAS350系統と変わらない操縦の難しさも併せ持っているのだからなおさらだ。

もっとも、こんなことを言うと昔のレシプロヘリにさんざん乗ってきた諸先輩方に「十分パワーあるだろバカヤロウ!」と言われてしまうのだが笑。

 

 

まあ難しいのは離着陸の時だけで、ひとたび上空にあがってしまえばけっこう安定するんだけどね。要因はよくわからないのだが、小型機のわりには上空でどっしりと安定するような印象があり、コレは結構好きなポイントではある。

 

まあ、とにかく地味なヘリであることは間違いないと思うのだが、パワー面の不利があるとはいえ機体の主要寸法を変えずにエンジンを双発化させ、加えて3時間近くの航続時間と格安な時間単価を実現しているのだからこれは見事である。

 

もう現在は減少の一途を辿ってはいるが、民間レベルではもうちょっとだけこの機体が使い続けられるだろう。

エンジンが昔からよく初等訓練で使われているアリソン系列なので、もしかしたら引退後は整備士さんの学校にたくさん卸されるのやもしれぬ。